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長崎県歯科医師会会史第一編 |
小幡英之の開業当時の歯科治療 |
(1)歯齦疾患 歯石を除去後、ヨードチンキの塗布 含嚇の投与=塩剥、枯響、単寧酸(枯響は焼明皆のことで、収れん性があり、味はやや甘い。タンニン酸は昔、お歯黒などにつかった 五倍子(附子)または浸食子から得たタンニンである。味はきわめて渋い。) |
(2)歯髄充血 クレオソート貼布、鎮痛後、ゴム充填、数か月間経過観察後、永久充填を行う。貼薬二・三回でなお鎮痛しないときにはクレオソートを綿球に浸し、これに亜ヒ酸末をつけて失活する。 |
(3)象牙質知覚過敏症 クレオソートの貼布 |
(4)歯髄露出 亜ヒ酸を貼布、サンダラックバニッシュで仮封、48時間後、歯髄腔を開拡し、フーク状神経針で歯髄を抽出し、その後ゴム充填する。もし失活が不十分なときにはクレオソートを貼布し、隔日反復 する。全部失活するまで持続する。 |
(5)歯膜炎(歯根膜炎) 歯髄腔を開きクレオソートを貼布、歯根にはヨードチンキを塗布し、頬部に冷罨法を施し、毎日こ れを反復する。 |
(6)歯槽膿瘍療法 これは(5)と大差なく、療孔の作成を促進させる方法をとった。 |
(7)歯槽膿漏症 歯石を除去、ヨードチンキの塗布、含噺剤の使用、もし効果なきときは抜歯といっている。 |
(8)磨耗症(消耗症) 金「アマルガム」充填 |
(9)抜歯 局所麻酔を行うことなしで、通例一つの薬品も用いず、直ちに歯齦刀で歯齦を切開し、直ちに紺子を適合させ抜歯した。 |