歯の地域格差解消への取り組み
長崎県対馬市厳原南保育園の4、5歳児クラスで、昼食後の日課として歯磨き後、低濃度フッ素入り水で口をゆすぐ「フッ化物洗口」を行っています。「フッ化物洗口」は、歯の表面のエナメル質が溶け出すのを防ぎ、溶けた部分を修復するむし歯予防です。
1995年度当時、全国平均の3歳児のむし歯数は2.19本、長崎市保健所管内で3.16本だったのに対し、対馬保健所は5.32本。同じく離島の上五島保健所の6.67本に次ぎ多い結果でした。
危機感を抱いた対馬市歯科医師会は「フッ化物洗口」導入に向け、親や園の職員への説明会を重ね、実施に漕ぎ着けました。その結果、99年度には4歳児で5.8本、5歳児で6.75本だった平均むし歯数は、2011年度にそれぞれ3.5本、4.5本に減少しました。
東北大歯学部准教授の相田潤先生によると、歯の健康は健康寿命に関係します。「全ての子供に行き渡るフッ化物洗口によるむし歯予防は、生涯にわたる健康格差の是正につながる」ことを訴えていきたいと思います。